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「日本陶磁協会賞」は、毎年その年の尤も優秀な焼物を作った新進の作家、二名乃至三名を選んで表彰しようとの加藤土師萌氏の提案によって、昭和29年初春に制定されたのが始まりです。第一回の受賞者は清水卯一氏と熊倉順吉氏でした。
そして、昭和34年に受賞作家11名により「日本陶磁協会賞受賞作家展」が開催されました。
さらに昭和48年より、新進ということにこだわりなく、その年の最も優秀な作家に対して「日本陶磁協会賞」が、また陶芸界に大きな足跡を残したベテラン作家および、すでに協会賞を受賞した作家の活動に対し、「金賞」を授与することを決議し、現在に至っています。ちなみに、第一回の金賞受賞者は八木一夫氏でした。(歴代作家参照)
また毎年1月〜2月には、和光ホール(銀座・和光)にて「日本陶磁協会賞受賞作家展」を開催いたしております。
なお、日本陶磁協会賞についての詳しいお問い合わせは、社団法人日本陶磁協会・事務局までご連絡下さい。


■平成30年度 日本陶磁協会賞並びに金賞のご報告

    平成30年度 日本陶磁協会賞金賞小川待子

    平成30年度 日本陶磁協会賞内田鋼一


平成30年度「日本陶磁協会賞・金賞」の選考委員会を1月26日(土)午後2時より、銀座・和光本館6階会議室にて開催しました。出席者は、赤沼多佳、唐澤昌宏、黒田耕治、竹内順一、中ノ堂一信、宮島格三、森孝一の7名でした。梅澤信子理事長、伊藤嘉章氏、戸田博氏は欠席でした。
これに先立ち推薦委員の方々に候補者を協会賞・金賞それぞれ3名まで選定していただき、協会賞68名、金賞41名の推薦をいただきました。推薦委員は美術館・博物館の学芸員、美術ジャーナリスト、ギャラリー関係者、陶芸家(金賞受賞作家)など専門の方々49名よりいただきました。

今回は、金賞から選考することになりました。推薦委員の方々による選定の結果、候補者は以下のとおりになりました。

9名=小川待子
6名=前田昭博
4名=前田正博
3名=中里隆・中島晴美・武腰潤・林康夫・三原研・三代宮永東山
2名=板橋廣美(協会賞推薦者1名)・井上雅之(協会賞推薦者4名)・金重晃介・黒田泰蔵・鶴元・中村錦平・中村康平(協会賞推薦者1名)・星野暁・三輪和彦
1名=赤地健・市野雅彦・伊藤公象・今井政之・加藤委・川崎毅(協会賞推薦2名)・八代清水六兵衞・近藤弘(協会賞推薦2名)・栄木正敏・重松あゆみ・神農巌・杉浦康益・鈴木五郎・高野好子・竹中浩・田嶋悦子・玉置保夫・辻村史郎・中田一於・西村陽平(協会賞推薦1名)・原田隆子・皆川典子・八木明

今回も小川待子氏が推薦者9名とトップでした。続いて3名以上の推薦者のあった候補者、前田昭博・前田正博・中里隆・中島晴美・武腰潤・林康夫・三原研・三代宮永東山の9氏について、選考委員に候補者の陶歴、推薦理由および作品の写真資料を送り、候補者を1位(3点)、2位(2点)、3位(1点)で選定していただきました。結果、点数の高い順に示しますと

小川待子(14点)
林康夫(11点)
前田昭博(10点)
黒田泰蔵(6点)
川崎毅、宮永東山(以上4点)
武腰潤、前田正博(以上3点)
中島晴美(2点)
三原研(1点)

でした。今回、小川氏を1位に選んだ選考委員は3名、林氏も3名、前田氏・黒田氏は2名、宮永氏は1名でした。 上位3名の推薦理由は、以下の通りです。

小川待子 「小川待子は、陶芸と言う範疇だけでなく、現代造形にも通用する作家と思われます。それは、小川待子の一貫した創作姿勢にあるということ、土を素材として芸術の本質を捉えようとしていること、陶芸の根源である原石の美しさへの挑戦を続けていることなど、小川待子の繊細さと豪快さを併せ持つ作品に感動しています」「素材から立ち上がるイメージを形象化し、近年の表現はより先鋭化している。現代美術との関わりなども深めながら、陶芸ジャンルの広がりと可能性を知らしめている意味でも貢献度は大きい」など、多くの推薦が寄せられました。

林康夫 林氏については「貴重な存在」というコメントが寄せられました。昨年、京都の祇をん小西で「林康夫・加藤清之」展が開催されました。90歳を迎えた林氏と、87歳の加藤氏による二人展です。作品は2人とも年齢を感じさせない斬新で力強いもので、多くの方々に感銘を与えました。とくに林氏は、陶歴72年の大ベテランで、近年の作品は絵画的な線、面、あるいは陶の立体と絡み合った特異な空間を感じさせるもので、その姿勢は一貫して変わりません。推薦にもあるように、まさに「貴重な存在」です。

前田昭博 「前田昭博氏の白瓷は、周りの光を取り込んで柔らかに存在する白が特徴的である。それは作品だけではなく、前田氏の存在ともシンクロする。どんな人に対しても話をしっかり聞き、丁寧な語り口で答える。柔らかであるが強い存在感である。日本工芸会副理事長・陶芸部会長として日本の陶芸を牽引する立場でありながらも、鋭さよりもしなやかながら折れない強さを持つ。組織の中心としては大事な存在感である。その重要さを評価し、日本陶磁協会賞金賞に推薦する」「前田白瓷は唯一無二の存在であり、独自の白瓷を切り拓いた功績は大きい」など、多くの推薦が寄せられました。

選考委員会では、小川・林・前田の3氏で議論を進めました。林氏は現在90歳ですから候補としては有力でしたが、小川氏は平成27年度、28年度、29年度と連続トップでしたので、小川氏の最有力は揺るぎないものでした。前田氏も毎年、金賞候補に挙がる有力候補ですが、これまで人間国宝や芸術院会員に認定された陶芸家に対して、金賞を贈ることはありませんでした。しかし、年々、人間国宝の年齢が若くなっていますので、賞の内容がまったく違うということで、今後は人間国宝や芸術院会員の方も金賞の対象に入れる方向で考えていくことになりました。 採決を取った結果、全員一致で小川待子氏に金賞を贈ることになりました。受賞理由は、推薦の文章にもあるように、小川氏の作品は、陶という範疇だけでなく、現代造形としても通用するものであり、土を素材として芸術の本質を捉えようとする作陶姿勢や、繊細さと豪快さを併せ持つ作品を高く評価してのことです。


平成30年度 日本陶磁協会賞金賞 小川 待子(おがわ まちこ)

1946年北海道に生まれる小川待子
1969年東京藝術大学美術学部工芸科卒業。
フランス国立工芸学校研修生(〜1971年)
1972年西アフリカ各地で陶芸を学ぶ(〜1974年)
1992年タカシマヤ文化基金新鋭作家奨励賞
2001年2000年度日本陶磁協会賞
2002年「小川待子展 ー呼吸する気泡」(神奈川県立近代美術館)
2003年「NOW & NOW World Contemporary Ceramics」
(Incheon World Ceramic Center 韓国)
ミュージアム「もうひとつの現代展」(神奈川県立近代美術館)
2005年「アルス・ノーヴァー現代美術と工芸のはざまに」(東京都現代美術館)
「アジアの潜在力」展(愛知県美術館)
2006年「Contemporary Clay Japanese Ceramics For The New Century」
(Japan Society: New York アメリカ)
2007年「土から生まれるものーコレクションがむすぶ生命と大地」
(東京オペラシティアートギャラリー)
2008年第58回芸術選奨文部科学大臣賞
2009年「CHEONGJU INTERNATIONAL CRAFT BIENNALE OUTSIDE THE BOX 
出会いを求めて」(Cheongju Arts Center 韓国)
「小川待子展」(Joan B.Mirviss New York アメリカ 2014、2018)
2010年「第3回智美術館大賞展 現代の茶ー造形の自由」優秀賞
2011年「小川待子展ー生まれたての〈うつわ〉」(豊田市美術館 愛知)
2014年「Tradition on fire」(Asian Art Museum.San Francisco アメリカ)
2015年「Unfolding Worlds」(The Museum of Fine Arts, Houston アメリカ)
2016年「小川待子展」(Erskine, Hall&Coe, London イギリス)
「革新の工芸ー伝統と前衛、そして現代ー」(東京国立近代美術館工芸館)
2017年「小川待子展」(Japan Art, Galerie Friedrich Muller, Frauktult ドイツ)
2018年「NEW FORMS, NEW VOICES」
(New Orleans Museum of Art アメリカ)
2019年平成30年度日本陶磁協会賞金賞受賞



次に協会賞ですが、推薦委員の方々による選定の結果、候補は以下のとおりになりました。

7名=和田的
5名=内田鋼一
4名=稲崎栄利子・井上雅之(金賞推薦者2名)・川端健太郎・長江重和
3名=植葉香澄・大塚茂吉・松本ヒデオ
2名=泉田之也・伊勢ア晃一朗・植松永次・川崎毅(金賞推薦者1名)・木村芳郎・近藤弘(金賞推薦者1名)・柴田眞理子・堤展子・森山寛二郎・若尾経・若杉聖子
1名=秋永邦洋・浅田尚道・安藤雅信・猪倉高志・石原祥嗣・石橋裕史・石山哲也・板橋廣美(金賞推薦者2名)・伊藤みちよ・永楽善五郎・大樋長左衛門・加藤清和・加藤智也・金子司・金重愫・かのうたかお・上出惠悟・木野智史・酒井博司・沢田一葉・島村光・新宮さやか・須浜智子・高橋奈己・戸田浩二・中里太亀・十四代中里太郎右衛門・中村康平(金賞推薦者2名)・中村清吾・中村卓夫・長江惣吉・新里明士・西村陽平(金賞推薦者)・橋本昌彦・長谷川直人・林香君・平井智・松田百合子・美崎光邦・見附正康・室伏英治・山口美智江・山田晶・山田和・山本健史・山本出・吉田喜彦・吉田里香

その結果とともに、上位9氏、和田的・内田鋼一・稲崎栄利子・井上雅之・川端健太郎・長江重和・植葉香澄・大塚茂吉・松本ヒデオの陶歴、推薦理由および作品の写真など資料を選考委員の方々に送り、候補者を選定していただきました。選考の結果を点数の高い順に示しますと、協会賞候補は

和田的(19点)
内田鋼一(14点)
島村光(6点)
長江重和・稲崎栄利子(以上4点)
森山寛二郎・井上雅之・大塚茂吉(以上2点)
伊勢ア晃一朗(1点)

でした。なお、1位に和田的を選んだ選考委員は4名、内田鋼一・島村光は2名、長江重和・稲ア栄利子は1名でした。上位5名の推薦理由は、以下の通りです。

和田的 「和田的氏は発表のたびに新鮮な驚きを与えてくれ、そしてその奥にある考えを丁寧に語ってくれる。近年の作家は自身の姿勢を冷静に語ることも大事だと感じる中、和田氏は自身の作品だけでなく、制作の背景にある世相をも語る客観的視野をもつ。まだまだ成長途中ではあるが、その都度完成度の高い作品を見せる和田氏の現在を高く評価し、日本陶磁協会賞へ推薦する」「ろくろで成形した原型を彫刻刀で削り出す造形は、シャープな線とそれがつくり出す光と陰のコントラストが特徴で、独特なデザインコンセプトとあいまって独自の世界観をつくりだしている。現在活躍する白磁作家のなかでも抜きん出た存在である」

内田鋼一 「20代後半から国内外でスケールの大きい個展。伝統的な作品に加え、オブジェまで作域は極めて幅広い。現在でも最も個展活動が多くファン層が広範で美術界からも注目度の高い作家。又、地場産業の活性化の為に個人コレクションによるBANKO archive design museumを開館(2017年)」「多彩な表現、静謐さの中に強烈な存在感を放つ作風。他ジャンルとのコラボレーションや関わりなど幅広いファン層から支持されており陶芸界への貢献度は高い」

島村光 推薦文には「ユーモアやウィットに富む備前焼細工物の第一人者」とあるが、島村氏の細工物は、これまでの伝統的な備前焼とは違う、独特な作調と存在感を持っています。そして、とても清潔で少しも媚びたところがありません。干支に猫を加えた十三支シリーズで知られていますが、2015年岡山県文化奨励賞、2016年山陽新聞賞「文化功労」などを受賞しました。「The備前展」(東京国立近代美術館工芸館他巡回)にも出品する今注目の陶芸家です。

長江重和 「焼成技法で造形を完成させるその技術的な先進性とともに、純粋にその曲線の美しさは、世界の美術館やコレクターを魅了してやまない」「瀬戸の伝統的な鋳込手法を世界的に評価させ各地のコンテストではグランプリを得ている。造形力のすばらしさも評価出来る」

稲崎栄利子 「彼女は、超絶技巧的作品を長年発表しているが、超絶技巧では終わらない創造性、又独自性を持った魅力あるものを作り続けている」稲ア氏は、この度、第29回(2018年度)タカシマヤ文化基金を受賞されました。

今回、1位と2位の差が5点で、和田氏がトップでしたが、協議の結果、1位の和田氏と2位の内田氏でもう一度採決を取ることになりました。結果、内田氏を推薦する人が6名、和田氏を推薦する人が1名で、内田氏の協会賞受賞が決定しました。
受賞理由は、推薦の文章にもあるように、内田氏の作品は、伝統からオブジェまで幅広く多彩な表現力を持っていること、静謐さの中に強烈な存在感を放つ作風であること、団体に属していないので、協会賞を贈るにふさわしい作家であることなどの理由でした。
和田氏については、今回受賞を逃しましたが、若手の実力作家としての評 価は高く、今後さらに伸びると思われますので、もう少し様子を見たいとの意見でした。


平成30年度 日本陶磁協会賞 内田 鋼一(うちだ こういち)

1969年愛知県名古屋市に生まれる内田鋼一
1990年愛知県立瀬戸窯業高等学校陶芸専攻科修了
1992年三重県四日市市に自身の工房を構え、制作拠点を置く
1993年個展を中心に活動を始める
1999年「東海の陶芸」(名古屋国際会議室 愛知)
2000年「うつわをみる 暮らしに息づく工芸」
(東京国立近代美術館工芸館)
2003年「UCHIDA KOUICHI」展(パラミタミュージアム三重)
2004年「静謐なかたち Uchida Kouichi works 2003‐2004」
(リバーリトリート雅楽倶4th ミュージアム 富山)
2006年「陶芸の現在、そして未来へCeramic Now+」(兵庫陶芸美術館)
2008年新進陶芸家による「東海現代陶芸の今」(愛知県陶磁資料館)
「art in mino '08 土から生える」(市之倉窯場跡、大川採土場他、岐阜)
2010年「第3回智美術館大賞展 現代の茶ー造形の自由」(菊池寛実記念 智美術館東京)
「茶事をめぐってー現代工芸への視点」(東京国立近代美術館工芸館)
2011年「MADE IN JAPAN 内田鋼一ーCollection」(museum as it is 千葉)
「白磁・青磁の美ー伝統と創造」特別展示「内田鋼一 茶の空間」
(樂翆亭美術館 富山)
「井上有一・内田鋼一」(箱根菜の花展示室 神奈川)
「作る力 creators for every day life」(金沢21世紀美術館 石川)
2012年滋賀県朽木に穴窯を築窯
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012」(新潟)
「交差する視点とかたち」(札幌芸術の森美術館、北海道立釧路芸術館)
2013年「内田鋼一展ーうつわからの風景ー」(パラミタミュージアム 三重)
2015年2015年度グッドデザイン賞
「内田鋼一展ー手と眼」(樂翠亭美術館富山)
三重県四日市市に萬古焼をテーマとする市立美術館「BANKO archive design museum」を開館
2017年「形の素 赤木明登 内田鋼一 長谷川竹次郎」(樂翆亭美術館 富山)
「沼波弄山生誕三百年 BANKO 300th」総合プロデューサーに就任
2018年「沼波弄山翁の生誕300年 萬古焼の粋ー陶祖 沼波弄山から現在、未来に繋がる萬古焼」(ばんこの里会館)を企画・監修
2019年著名作家招聘事業×テーマ展 「内田鋼一展ー時代をデザインする」
(兵庫陶芸美術館)