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新潟県支部 一品持寄観照会 [平成16年8月号より]

日本陶磁協会新潟県支部では、小田良彦支部長のもと、毎年恒例の『一品持寄観照会』を開催致しました。会場は信濃川の(観が美しい「新潟グランドホテル」で、約50名の方の参加がありました。
会は例年と同様、前半約1時間が講演会、後半約1時間が観照会という次第で進められました。
本年度の講演会は、新潟は伊万里の愛好家が非常に多いということもあり、「古伊万里の発展」というテーマでした。講師には?日本陶磁協会研究員の中島由美先生をお迎えしてお話し頂きました。伊万里の創始から初期伊万里、染付の変遷、色絵の創始、柿右衛門様式と古九谷様式、輸出業と欧州への影響、金欄手、江戸後期の伊万里、というように伊万里の誕生から発展を順を踏んで、貴重なスライドを見せて頂きながらご講演して頂きました。先生の豊富な知識と大変興味深いお話の進め方のお陰で、皆さん「本当に有意義なお話だった」と非常に喜んでいらっしやいました。
後半の観照会では、参加者が持ち寄った品を、中島先生にご説明して頂きながら皆さんで観照し合いました。お猪口から大きな水指までバラエティ豊かな品が揃い、中にはご自分の所蔵品の窯元などが初めて判明したとお喜びの方もいらっしゃって、例年通り盛り上がりを見せていました。
3月とは言いましても、まだ肌寒い新潟ですが、この場だけは、一足早く春が訪れたかのような、大変優雅で心和む一日となりました。
お忙しい中、新潟まで足を運んで下さり、素晴らしいご講演をして下さった中島由美先生と、本部の方々に心より御礼申し上げます。
また、新潟県支部では、本年11月6日・7日の2日間、北方文化博物館・加賀田邸において、毎年恒例の「展観と鑑賞茶会」を開催致す予定です。皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております。(加賀田尚子記)
仙台支部たより [平成16年8月号より]

5月30日仙台支部では、5月30日(日) 黒田和式常任理事を講師にお迎えし、仙台市博物館で本年度第1回大会を開催いたしました。
今回のテーマは「利休と織部」。極めて大きいテーマですが黒田先生は「利休の茶と織部の茶」の題の下に、利休と織部の出自から環境、茶の理念の違い、そしてそれが茶室や茶道具の好みにどのように反映されたかについて詳細にお話し戴き、展観品と合わせて更めて利休の茶と織部の茶を理解することができました。展観品は、黒田先生ご持参の唐物茶入・織部茶入・金輪寺茶器・盛阿弥黒大棗・長次郎黒楽茶碗銘西王母・二徳三島茶碗・斗斗屋茶碗・利休信楽茶碗・宗石信楽茶碗・大萱手黄瀬戸菊皿・黄瀬戸向付・紹鴎茶杓・利休茶杓・織部茶杓等々茶入・薄茶器・茶碗・向付・茶杓と極めてバラエティに・富んだ総数23点でした。特筆すべきは紹鶴・利休・織部の3点の茶杓でそれぞれがケース越しでなく間近かに拝見できるのは又とない機会で、ありがたいことでした。中でも、利休茶杓は、昭和42年7月当地の藤崎デパートで仙台支部主催の百碗会が開催された際、ご先代陶々庵先生がお持ち出しになって以来ですから、37年ぶりでの出会いに出席者一同大感激でした。今回は、仙台市博物館小井川学芸室長の格別のお計らいで、伊達家伝来仙台市博物館所蔵の紹鴎・利休・織部の茶杓木形3点も並べて展示しました。茶杓木形は、仙台藩4代藩主綱村に茶道として仕えた安達雲斎の作で、櫂先・節・切止めなどの要所要所の形や寸法が分かるように作られたものです。藩主が茶杓を作る際の手本にしたものではないかとの説もありますが詳細は分かっておりません。実際に茶杓を木形に当ててみると若干一致しないところもありますが、櫂先の撓めの具合や切止めの寸法などぴたりと合うのに感嘆の声があがっておりました。

当日は、丁度在仙の茶道諸流の合同茶会「杜の都の大茶会」が開かれるなど行事の多い日で案じておりましたが、200名近い参会者に安堵いたしました。添釜は、支部役員の裏千家岡崎宗留先生。会記は後記のとおりですが珍しい遠州好時代瓢棚に高取水指・道恵造遠州好丸形棗の取り合せが大変見事なお席で楽しませて頂きました。ご多用の中、ご来仙頂きました黒田先生、随行頂いた森主任研究員に厚く御礼申しあげます。
    会記
    床  咄々斎宗旦筆 水月画
       賛     円能斎箱
    花  浜茄子
    花入 杉本普斎作 古瓢
             普斎在判
    香合 白粉解 時代八ツ橋蒔絵 宗旦在判 古筆了意極
    釜敷 銀水色檀紙 吉兵衛製
    釜  八陵形  初代寒雉造
    風炉 銀張槌目道安 玉川堂造
    棚  遠州好時代瓢棚
    水指 高取
    薄器 遠州好丸形棗 道意造
    茶杓 不見斎作 銘水鶏 簡箱共
    茶碗 萩 鵬雲斎大宗匠銘翠
       竹
       替 安南
    蓋置 白南京井筒
    建水 古染付
    御茶 坐忘斎お家元好千古の白 上林詰
    菓子 青葉 賣茶翁製
    菓子器 堅手鉢

萩支部たより [平成16年6月号より]

講習会、平成16年度定期総会を開催昨年の11月に発足した萩支部の平成16年度第1回の支部活動として、4月3日(土) に山口県立萩美術館・浦上記念館、講座室において、会員35名の参加のもと、講習会及び定例総会が行われました。講習会は、山口県立萩美術館・浦上記念館の特別企画展「初期伊万里展」の記念講演会に参加し、佐賀県立九州陶磁文化館副館長・大橋康二氏による「肥前磁器−誕生と発展」を聴講しました。講習会終了後、同講座室において平成16年度定例総会を開催しました。まず小野公久支部長より御挨拶を頂き、小野支部長が議長を務め、議事を進行しました。平成15年度決算報告ならびに事業報告、平成16年度予算案ならびに事業計画がそれぞれ発表され、いずれも承認されました。
萩支部の平成16年度の活動は、第1回講習会同様、山口県立萩美術館・浦上記念館の企画展記念講演会を主軸とし、秋には東京国立近代美術館工芸課長・金子賢治さんをお迎えしてシンポジウムを計画しております。また、平成16年度より萩市が入会され、行政として萩支部の活動をバックアップしていただけるようになりました。萩市は昨年度より商工課に萩焼係を創設し、行政として萩焼の発展に寄与しています。日本陶磁協会萩支部への入会も商工課が担当窓口となり、陶説は萩市立図書館に常備して一般市民にも閲覧していただき、日本陶磁協会の活動がより広く理解していただけることになります。
総会終了後、HAGI BEER CITYにおいて懇親会が行われ、会員同士の親睦を深めました。来賓として野村興兒萩市長をはじめ会員20数名が参加し、支部活動に関して積極的に意見を交わし、平成16年度の萩支部の活動が本格的にスタートしました。
発足2年目、通年としての活動は今年度が初めてとなる萩支部ですが、講習会やシンポジウムを積極的に行い、会員の研鑽、親睦を深め、さらに会員増強を計画しています。(白田豊)
三島支部たより [平成16年6月号より]

日本陶磁協会三島支部創立10周年、三陶会創立40周年を記念して、藤田安支部長のもとはじめての茶会を開いた。会場は、明治時代の小松宮別荘跡「楽寿園」内の明治23年に当地に移築された「梅御殿」で行われた。濃茶席は裏千家横山宗枝さん、薄茶席を裏千家児玉宗恵さんの指導のもとに横山社中の御協力をいただいた。道具組は横山宗枝さんの好みの会員有志所蔵品を中心に使用した。殊に数茶碗は、唐物、国焼の古作、現代作ありの様々なバラエティーに富んだ品ぶれとなった。
当日は日和も良く、野生する狸が顔を見せる程のおだやかな春の日であった。参加者は百十数名を数え、お茶方の着物姿が壮観であった。本部の御協力による黒田和哉先生の講演は盛況で、長次郎作黒楽筒茶碗をはじめ名碗の実物を前に、会場は熱気に包まれていた。(三島支部 須磨記)
以下、会記より抜粋
    濃茶席
    床  大徳寺一七〇世
       清巌宗渭問答ノ偈
    花入 李朝白磁下蕪
    釜  天明平釜(天命古作)
       宗旦好 唐犬釜共蓋
    香合 表千家七世如心斎花押
       魚型染付香合 山水絵
    水指 伊賀焼 四ツ目菱紋アリ
    茶入 瀬戸肩衝
    茶杓 玄々斎 銘玉保古
    茶碗 赤楽 大徳寺二七三世 大心義統手造
    替  伊羅保
       武者小路千家十世有隣斎 銘柴の戸
       唐津井戸
       黒高麗
    建水 唐金
    菓子器 備前 えび絵 魯山人

    薄茶席
    床  八條宮智仁親王 短冊
        春の夜の月に昔や おもひ出る
    花入 萬拙和尚銘千代の友
       竹一重切 玄斎造
    香合 唐物 八角蒔絵
    釜  切掛風炉 金森紹栄
    水指 九谷 唐美人図 時代
    薄器 大棗 古城の春  一兆作
    茶杓 銘吉野山   成瀬宗巨
    茶碗 萩焼  休雪造
    替  志野織部
       李朝白磁
       和全春駒
    貰盆 松古材 行李蓋
    火入 初期伊万里染付
    建水 ウルシ絵 曲 遠山 万象造
    蓋置 染付福壽丸紋             以上

仙台支部だより [平成16年4月号より]

昨年は仙台支部設立五十周年記念行事「伊達家の茶の湯展」および特別茶会に本部の格別のご支援・ご協力を賜り、まことにありがとうございました。また、席主の梅澤信子様・小田榮一様には一方ならぬお世話になり、お陰様で大勢のお客様に「仙台ではめったに経験できないお席でした」と大変喜んで頂きました。あらためて厚く御礼申しあげます。
新年を迎え、仙台支部は更に新たな歴史を築くべく、今年の活動を開始しました。今年は、2月と9月に例会、5月と11月に大会、それに窯元と美術館見学の旅行会を計画しております。その第1回の例会を、2月8日仙台市民会館で開催いたしました。今回の展観は「国焼茶碗」。主な出品は
    出雲 銘 松葉 松浦鎮信甲書
    瀬戸 銘 八重桜 遠州箱
    古唐津 小服皮鯨
    仁清 御本写 銘 氷面鏡 淡々斎箱
    萩 銘 三番叟 鵬雲斎大宗匠箱
    小鹿田 黄頽釉
    絵唐津 銘 むさしの 日野資枝箱
    薩摩 金彩
    古清水 松竹梅
等ですが、唐津・萩・薩摩・京焼等々非常にバラエティに富んだ30碗を観賞頂きました。
添釜は、裏千家高瀬宗知先生。床に淡々斎の横物「甘雨」を掛け、大樋年朗作鳥文花入に梅と椿を活け陶兵衛作萩香合、碧山作高取水指、十二代新兵衛作萩茶碗等のお取り合わせで楽しませて頂きました。
お道具は殆んどが支部旅行会での思い出の品。旅行会の永い歴史を感じさせるお席でした。(田口一嘉記)
松江支部「春の講演会」 [平成16年4月号より]

坂本五郎氏々半生記々を聴く去る1月24日(土)、松江市の島根県立美術館と共催し、同美術館ホールで、松江支部会員と一般の方あわせ約200名の聴講者を集め、年間行事の1つ『春の講演会』を開催した。今回は、東京・日本橋「不言堂」創立者の坂本五郎氏をお招きし、氏の厳しかった青春=修行時代から【ひと聲千両】…の半生記をお話し戴くことにした。
開会に当たり、松江支部の田部陽子支部長から「坂本講師をお招きした経過、支部が開く諸行事など」について挨拶を行い、続いて、坂本講師と昵懇のお付き合いで今回のご来講を実現された金川幹事長から、人となりを含む「講師紹介」があり、正味一時間半、休懇なしでご講演を戴いた。講演は、前々とした語り口の奥からにじむ、先生の自らを信ずる強い精神力と行動力が数多くの強運を招き、得がたい貴重な人々との交流を生み、世界の美術界の風雲児となられたことが覗え、また立志伝を目の当りにした感銘を与えて戴いた。
講演後は、テレビの「なんでも鑑定団」の観かた、骨董品を求める際の心構えなどの質疑にユーモアを交えてのお応え、滅多に拝聴できない、貴重な体験談…は、つい時間の経過を忘れるほどであった。講演会の終了後、坂本講師のご意向を戴して募金箱を準備し、会場の聴講者へ「ユニセフ募金」を呼びかけ、思いがけない多額の寄付を受け、早速ユニセフヘの納付を講師へ報告し喜んで戴いた。(事務局目次記)
NHK青山荘で第一回やきもの文化講座が開催される [平成15年8月号より]

「第一回やきもの文化講座」が6月8日(日)午後1時半より、NHK青山荘にて開催されまし た。今回は、根津美術館で開催中の「やきものを愛でる 陶磁研究家 小山富士夫の眼と技」展に併せて、長谷部楽爾理事に「陶磁学者・小山冨士夫の業績」についてスライドを交えて楽しく語って頂きました。また、弓場紀知常任理事にも長谷部理事の後を受けて講演して頂き、のち展示作品のスライド解説をお願いいたしました。
今回の講座参加者は80名弱と100名には少し足りませんでしたが、皆さん熱心に講師の話に耳を傾けておられました。
次回は10月4日(日) 講師は林屋晴三理事です。
仙台支部報告 [平成15年7月号より]

仙台支部では支部設立五十周年を記念して特別展「伊達家の茶の湯〜利休・織部・遠州・道閑・石州・不味〜」を4月18日から5月25日まで仙台市博物館・河北新報社・東北放送 と共催で仙台市博物館で開催いたしました。
展観の内容については、4月号で、仙台市博物館小井川百合子学芸室長が詳細に解説され、開会式の模様については、6月号で森さんが詳しく書かれておりますので、ここでは記念茶会についてご報告いたします。
今回は、会期中博物館ギャラリーに仮設の茶室を設け、連日、在仙各流派にお願いして茶会を行いました。
会期中、4月25日から27日までは裏千家淡交会東北地区大会が仙台で開催され茶席を使用しましたので、その3日間を除き29日間、うち、四月18日は石龍支部長 (裏千家)  5月3日岡崎宗豊 (裏千家)  5月4日岡崎宗澄 (裏千家)  5月5日島田宗味 (表千家)  最終日5月25日岡崎宗留 (裏千家)  と仙台支部世話人の各先生方が懸釜され、それ以外の土曜・日曜・祝日は石州清水流・表千家・武者小路千家・玉川遠州流・宗偏流・大日本茶道学会・遠州流・江戸千家、平日は裏千家と在仙の各流派にお願いして懸釜頂きました。
これだけ多くの流派が揃って懸釜されることは仙台でも初めてのことであり、連日大変な盛況でした。
薄茶一席でしたが菓子は主菓子を使いましたので翌日の菓子の見込数をたてるのが大変で事務局は連日頭を痛めました。
足りない場合は、予備に用意した半生菓子を使いましたが最終日には700名近くのお客様 で予備の分もなくなり大慌てでした。
支部世話人のお席は、石籠支部長、島田先生、岡崎宗留先生お三方とも期せずして掛物は雲屈希膺(うんごきよう) 禅師をお使いになりまさに 「伊達家の茶の湯」にぴったりのお席でした。
雲居禅師は松島、青龍山瑞巌寺の中興。妙心寺の一宙東黙に参じ、後に一宙の法を嗣いで妙心寺153世となりました。伊達政宗公は再三にわたり雲居禅師を招請しましたが固辞され、二代忠宗公が再三強請して寛永13年瑞巌寺に迎え中興第一世になったと言われております。(「仙台人名大辞書」他による)
また、石籠支部長は寄付に田山方南先生の書を掛け、島田先生は「陶説」創刊号始め草創期の陶説や支部発足当時の展観目録を展示され、岡崎宗留先生は前日まで展示していた伊達家伝来尾垂釜をお席で使われるなど陶磁協会らしいお席でそれぞれ話題を集めておりました。
会期が終った翌日、5月26日の午後6時過ぎには震度5の三陸南沖地震が発生、一瞬肝を 冷やしましたが殆んどの展示品は格納作業が終っており、無事でなにごともなく安堵いたしました。
ともあれ、仙台支部としては、昭和39年の仙台市制75周年記念「茶道名宝展」以来の 大事業を無事終えることができました。
開催にあたり、服部理事長始め本部の皆様の一方ならぬお力添えを頂きましたこと、支部世話人・会員一同感謝いたしております。
ありがとうございました。

(田口一嘉)


筑豊支部だより 5月31日 [平成15年7月号より]

 去る2003年5月31日(土)筑豊支部恒例の「夏期陶磁研修会」が支部長毛利先生の本宅で、本部常任理事金子賢治先生を迎え、「現代日本陶芸のあけぽの」という演題で行われた。眼に青葉の好時節ながら、季節はずれに早い四号台風の接近で飛行機は欠航、金子先生は急遽新幹線に乗り替えての来講となった。
世紀末から20世紀初頭にかけて、ヨーロッパでは陶磁器生産は手工業から大規模工場生産に移行し、産業としての発展をみた。そして手工業はほとんど根絶された。一方で美術系大学で陶芸理論を学んだ個人作家が、陶(土) を素材にし、陶の技術を駆使して、立体表現、ファインアートとしての陶芸を推進した。産業としての陶芸とファインアートとしての陶芸ははっきり分化している。
日本では工場生産が発展した後も、地場産業として手工業が残り、所謂「伝統的工芸品」として今日迄続いている。そうした環境の中から多くの個人作家が生れたが、産業生産と個人作家の制作がともすれば混同され、混乱を来たしている。
陶(土) という素材や技術の制約を受け入れ、或はそれと対決しつつ、陶芸のプロセスに添って、最大限自己の形を表現する。それが陶芸である。志野も青磁も炭化も練込も技術であって、その「技術の制約を受け入れ或は対決しつつ」立体表現を試みる事。単なる陶芸の技術と造形表現を混同してはならない。
茶陶は極めて拘束性、制約感の強いもので、その強力な拘束性はすべての茶碗を均質化してしまう程である。ここはやはり茶入、茶碗(或は急須も含めて) の形をかりた個の表現、作家としての表現を試みるべきだ。個の表現の個とは何か。自己とは何か。これは優れて宗教的、哲学的命題で、古人もこの透過に命を削った (桃山陶の凄さはこの一点につきる) 。この地点の超克なくしては時代を超える名碗は生れ得ないことは自明の理で ある。
モナリザの絵を模写してどんなに上手に似せてもそれは畢竟模写でしかなく、茶陶に於ても本歌にどれだけ迫真の「写し」を作ってもそれはあく迄「写し」であって、作家の造形ではない。写しの柵(しがらみ)から解き放たれた処から茶陶は再出発しなければならない。等々。
金子先生の陶芸理論は明解、斬新で首肯するものばかりであった。午前中は一般の参会者(聴講無料)  も含めての講演、昼食をはさんで午後は各作家持参の作品を一人一人丁寧に批評していただき、作家は明日の制作に向け大きな示唆を得ていた。遠く常滑からは谷川菁山さん御夫妻もみえられ熱心に聴講されていた姿が印象的でした。
毛利支部長の西日本の陶芸界のレベルアップを計らんとする強い意志、それに応える金子先生の熱意あふれる講話、各作家の真撃な聴講態度、前回同様稔り多い研修会でした。
(参考文献金子著「現代陶芸の造形思考」阿部出版)
支部長を始め裏方を支えるお茶の社中の方々、世話役の方々の物心両面のボランティア精神に深く謝意を表します。

(支部会員 上野焼光井窯光井玄空 文責筆者)


第7回 京都支部会 4月29日 [平成15年7月号より]

第7回京都支部会を4月29日に開いた。前回までの現代陶見立て茶会とは趣を替え古典の大海から「京焼」を拾い上げた。講師にお迎えした小田榮一理事が持参してくださったのは野々村仁清作輪花鉢、尾形乾山作山水絵賛半筒茶碗、二代目尾形乾山作染付薄茶器などであった。小田理事のお話をうかがいながら、それらの器を茶会の流れの中で実際に使わせてもらった。京焼の源流を体感し元禄美への思いをあらたにした。
貞越なデザインと雅びな色彩で知られる京焼の祖・仁清だが、輪花鉢は白い胎土にうのふ 釉が掛けられただけの単色無文。片薄高台に鉢としては珍らしい大判の印、クールなロクロが冴える。「真贋の決め手は絵でも焼きでもなく独特のロクロの線です。この線は仁清その人にしか出せません」と小田理事。工房作品にも仁清の真印が刻まれているが、この線は出ていないという。
一方、乾山の半筒茶碗は正面に鉄絵があり、反対側に乾山自作の漢詩が記された典型作。文人画を眺める趣きだった。小田理事は佐野乾山の図録と対比させながら、その歴然たる差を楽しいエピソードを交えてお話くださり、一同笑いのうちに納得した。会員が持ち込んだ乾山作の色絵角鉢も懐石に使った。盛られた料理が減るにつれ、雅味深い絵付けがあらわになる京風の叙情だった。
力宿る桃山と比して、江戸初期の雅陶はある種の虚空を内包しているように思えた。爛熱美の外壁に包み隠された中心が虚空たればこそ、取り合わせの中で、特に輝き、時として心地良さに変奏される。陶から政を観る、という中国の古語に従うなら、まさに「元禄」という時代の味わいだったかも知れない。使ってみてこそ体感できた、京焼始源の懐の深さだった。
参加は19人。亭主の裏千家ギャリ宗可カドワラダ氏ら支部会員に加え、京都を中心に活動する陶芸家を招待した。実作者からの直截的な疑問、質問が会を盛り上げ、理解を深めてくれたことも申し添えておきたい。貴重な機会を設けてくださった小田理事に改めて感謝いたします。本当にありがとうございました。

(支部幹事 外地彰男 記)


一品持寄観照会 新潟県支部 3月16日 [平成15年7月号より]

去る3月16日(日)、本部より村山武先生をお招きし、新潟グランドホテルにて、毎年恒例 の「一品持寄観照会」を開催いたしました。まだ寒さ厳しい新潟でしたが、少しずつ春らしい陽が射す日も増え、当日も好天に恵まれました。
会は例年通り、前半と後半の二部で構成され、前半は村山先生による講演、後半では参加された皆様が持寄った二品を、村山先生に鑑定していただきました。
今回の講演テーマは、「茶碗の見方と種類」。先生の用意してくださったプリントに基づき、茶碗の形状から見込み、高台に至るまで、それぞれの代表的な形や見方を解りやすく丁寧に教えていただきました。毎回、さまざまな切り口から興味深いテーマを用意してくださる村山先生ですが、今年もまた、非常に内容の濃い講演会となりました。日頃、茶碗に親しんでおられる茶道の先生方も「お茶碗の専門的なお話を聞く機会は多いけれど、基本的なことをこのように一から詳しく聞ける機会はなかなか無く、大変よい勉強になりました。」と非常に喜んでおられました。
後半の観照会では、家にあるけれど、どういう謂われのものかよくわからない物など、参加者の方々が銘々持参された品を村山先生が一つひとつ手にとって見てくださり、それが作られた地域や年代、どのようなことに使う物かなど、細かく鑑定してくださいました。中には、中国の骨董市で買った水滴が、思いがけずよいものであったと喜ばれている方もいたり、逆に、少し期待がはずれてしまった方もいたりと、それぞれに有意義な観照会となりました。
陶磁器に興味のある方や茶道に携わる方など、多方面から五十名弱の参加者数でしたが、皆、大変喜んで帰られました。
例年のことながら、わざわざ新潟までおいでくださいました村山先生に、心より御礼申し上げます。
 尚、今年度、支部恒例の「展観と鑑賞茶会」は、9月20日(土)、21日(日)に開催いたします。他県支部の方々もぜひ初秋の新潟にお越しくださいませ。

(加賀田尚子 記)


伊達家の茶の湯展 開会式と支部夕食会 4月18日 仙台支部
[平成15年6月号より]

日本陶磁協会仙台支部設立50周年を記念して開催された特別展「伊達家の茶の湯」の開会式が4月18日(金)午前8時40分より、仙台市博物館エントランスホールで行われた。まず、仙台市長・藤井黎氏の挨拶に続いて、日本陶磁協会を代表して服部理事長が挨拶され、その後、仙台市博物館館長・佐藤憲一氏、河北新聞社社主・一力一夫氏、大徳寺孤篷庵主・小堀卓巌氏、当協会仙台支部長・石龍太虚氏らが加わり、テープ・カットが行われた。
また、開会式には、当協会理事・小田榮一氏、本部からは森が招かれ出席した。
「伊達家の茶の湯」展の成功を祈念して、服部理事長、小田理事、森と仙台支部の金ヶ崎伸二氏、河北新聞社の一力社主、仙台市博の佐藤館長をはじめ、関係者10数名が集まって、仙台市を一望する東洋館にて昼食会が12時より開かれた。
さらに、服部理事長の仙訪を歓迎して、仙台支部主催の夕食会がフランス料理店のアズマにて午後6時より開かれ、服部理事長を囲んで、佐藤館長、小井川百合子学芸室長の出席と共に、石龍支部長、岡崎稔氏、島田平八氏、田口一喜氏、堀内ヤス子氏、金ケ崎伸二氏、伸也氏をはじめとする世話人一同と支部会員が集まり、なごやかな一時を過した。
なお、開会式当日の仙台市博物館での添釜は、支部長の石龍氏が務められた。会期は下記の通りである。

    「伊達家の茶の湯」展・添釜
        主 仙台支部石龍宗虚
       寄 付
    床 田山方南筆 情幽
        硯箱 径山蒔絵
       薄 茶 席
    床 雲居希斎禅師筆
        蘿月談空松説法
        雲門胡餅趙州茶
     花  希のもの
    花 入 不休斎常叟作在判 鵬雲斎大宗匠箱書 銘三幅
    香 合 不見斎好共箱 四代宗哲造 銘寒雲
    釜 敷 檀紙銀砂子 吉兵衛製
    釜   古天明肩衝 下間左兵衛極
    風 炉 土四方沢瀉すかし 宗元造
    水 指 古備前 菱
    茶 杓 桑山左近作共筒 古筆了意極
    茶 碗 玄々斎御手造赤楽共箱 於利休堂造之トアリ
        鵬雲斎大宗匠外箱
        銘静寂
     替  高麗 銘夕陽
     替  信楽 小森松庵造
     替  薩摩 百花
    蓋 置 鵬雲斎大宗匠在判 竹引切
    建 水 朝鮮砂張
    茶   淡松 井ケ田園詰
    菓 子 老松 売茶翁製
    器   祥瑞 四方獅子の絵

以上

寄付の床は、故・田山方南氏(当協会理事)を偲んでの書。
薄茶席の床は、瑞巌寺開山雲居希斎禅師の一行が飾られた。
なお、替茶碗にも、小森松庵(当協会理事)を偲んで、信楽の手造り茶碗が使われたのがなつかしい。

(森 記)


湘南支部だより [平成15年2月号より]

旧臘12月1日(土)東京・白金台の畠山美術館の「鷹ヶ峰に集う茶道具」展の見学、のち、講堂において学芸課長の武内範男先生の「光悦会について」の講演会を一時間半にわたり、いろいろの創始者の畠山即翁のエピソードを交えながらの有意義な時間を過ごしました。のち、昼食は、となりの般若苑で名残の紅葉を見ながらのひとときでした。食後は、名園の散策、美術館に再度、見落とした展示品の見学に一日を費やしました。

1月18日(土)鎌倉・鎌倉工芸特設会場におきまして、染色家の吉岡幸雄先生をお招きして、「名物裂について」の歴史的な経緯と金欄、緞子、更紗などの制作技法など、古くは唐時代のものなど、現物をご持参頂き、約200枚ほどの珍しいものばかり拝見させて頂きました。なかでも井伊家伝来の「彦根更紗」の見本帖は圧巻でした。
京都支部会 12月8日 [平成15年2月号より]

師走の風を受け午が駆けはじめた12月8日、第6回京都支部会を開いた。大徳寺にほど近い裏千家国際部のギャリ宗可カドワラダ氏宅での現代陶見立て茶会も3回目を数える。テーマは茶碗。会員持ち込みの道具類には茶入れ、水差し、掛けものなどもあった。各人の持ち物を道具立てのなかで楽しむという趣旨も定着した感があった。

炉釜の音が静かに響くほの暗い茶室。登場した碗は、八木一艸氏(八木一夫氏の父)作の唐人笛茶碗、山田*詰氏(山田光氏の父)作の古飛記(こひき)碗をはじめ、鯉江良二氏作、熊野九郎衛門氏作、加藤委氏作、杉本立夫氏作、吉川充氏作など新旧、物故を問わぬ多彩な顔ぶれとなった。
端正な八木、山田両氏の作には、前衛の胎内に組み込まれた、京焼の、したたかな技術連鎖のDNAを垣間見た気がした。別々に持ち込まれた鯉江氏の三碗は大振りな朝顔形の黒、小振りの筒形志野、平形に近い桃山風黒織部と三様の魅力を放ち、氏の多面的な魅力を際立たせていた。氷雨の午後。持ち込まれたどの碗においても、作者と使い手、その双方の心が盛られた温もりに、しばしば寒風を忘れた。
濃茶席では会員が備前の伊勢崎満氏から「ウルトラ廉価で譲り受けた」という茶入れが登場。変化に乏しい胴に○△□紋を金彩し、見事に蘇生していた。誤解を恐れず記せば、まさに寂び(=廃物利用)の精神にかなう見立てであろう。お道具も○△□いろいろあってまた愉し、というところか。好き嫌いは別として、名品など縁遠い身に、勇気を与えてくれる器であった。

会を支えてくださった亭主カドワラダ氏と水屋のジョセフ・ジャスティス氏に感謝したい。本当にありがとうございます。
次回は、会員から古典をテーマにしてはどうか、との声があがった。良きものと直に向き合える集まりになればと願う。(*詰のごんべんは「吉」)

(支部幹事 外池彰男 記)


博多支部研修会 11月3日 [平成15年2月号より]

11月3日、福岡市内の福岡県立勤労青少年文化センターにおいて、常任理事黒田和哉先生をお招きし、研修会を開催いたしました。
当日は、文化の日には珍しい悪天候にもかかわらず、160名の方が参加されました。
会場には、黒田先生御所蔵の「初代長次郎黒楽茶碗」をはじめ、瀬戸黒、古萩、織部、絵志野、奥高麗、古信楽、古高取、古上野、色絵出雲の茶碗など11点の名品が並べられ、黒田先生の名品解説とともに、じっくりと、真近に鑑賞することができました。自然の風化に魅せられ、使い込まれたものの持つ味わいに触れ、四百年の時の流れにしばし引き込まれました。

また、午後からは、「茶の湯の美術」と題して、黒田先生にご講演いただきました。スライド100枚を順に写し出し、それぞれの特色、歴史、茶碗にまつわるエピソードなどを交え、わかりやすくご説明いただきました。満席となった会場では、聴講者は、熱心にメモをとるなど、一時間半、講演に聴き入っておりました。また、黒田先生による鑑定会も行なわれ、持ち込まれた茶碗などを鑑定されました。
茶室では、席主を亀井又生庵先生が務められた茶席も設けられ、現代の優品を拝見しながら、お茶をいただきました。

数年ぶりに催された研修会でもあり、多数の方が参加され、貴重で有意義な研修会となりました。この有意義な機会を作っていただきました黒田先生に心より御礼申し上げます。
なお、茶席の会記は左記の通りです。施設の制約により、風炉仕立てとなりました。
    会記
    床  紅葉万山錦 而妙斎共箱
    花入 青銅瓢 九代 浄益作
    花  ときのもの
    香合 日華 宗哲作
    釜  当館備品
    風炉 当館備品
    水指 高取 十四代味楽作 而妙斎書付
    茶碗 楽 弘入作
     替 萩 休和作
     替 高取金彩釉 十四代味楽作
    茶器 大徳寺古材を以って 浩明老師花押 共箱
    茶杓 銘 如意 瑞巌老師共箱
    建水 モール 浄益作
    蓋置 一双 即中斎共箱
    菓子器 印度材を以って 宗哲作
    菓子 銘 防塁跡 五十二万石製

以上


金沢支部だより 10月21日 [平成15年1月号より]

NHK大河ドラマ「利家とまつ」は、回を重ねる毎に面白さが増し、お陰で金沢の町なかは観光客が日増しに賑わいをみせるようになりました。地元の住人としても全国的に利家の関心の高まるなか、前田家の菩提寺、芳春院を訪れるのも一興かと10月21日、茶道資料館 秋期特別展に合わせて北陸路を京都に向けて出発しました。
道中、利家が府中三人衆の一人として尾張国から移封され6年間在城した武生を過ぎる時、その浅からぬ関係に思いを馳せ、賤ヶ岳を遠くに望んで信長の跡目相続で秀吉と争った柴田勝家が結局は利家に福井の庄でお市の方との自害に追い込まれた場面を想起し、いつもなら味気ない高速道路も、430余年前の歴史話に京都までの3時間はあっという間でした。芳春院御住職推薦の「吉泉」で京懐石の昼食をとったあと、前田家の御霊屋に向いました。まつの墓、利長の墓、そして麻阿の墓に手を合せ、金沢藩270年の基盤を築いた利家とまつが身近かに感じられたひとときでした。

平成14年秋期特別展 わび茶が伝えた名器「東南アジアの茶道具」は茶道資料館の久々に力のこもった展示でありました。茶の湯が伝えてきた南蛮物の特質と魅力をあらためて考究する好機になることを願われての特別展だけあって南蛮縄簾に代表される焼締め陶や安南、宋胡録ねハンネラ等、又、漆器は独楽や蒟醤、金属器の砂張など唐物や高麗物にはない素朴な趣をもつ道具類が167点展示され、実際に茶会で作われたものに再会できたものもあって嬉しいことでした。安南染付の名碗をはじめ大変ユニークなものまで難解なものと思われがちな南蛮物の印象が薄れていく感じでした。
今回も又、大樋会長には行く先々でいろいろ御配慮いただき、会員一同充実した一日でした。

(笠松 記)


新潟県支部「展観と鑑賞茶会」11月9・10日 [平成15年1月号より]

今年で48回を迎えた日本陶磁協会新潟県支部恒例の「展観と鑑賞茶会」を、去る11月9日(土)・10日(日)の両日、新潟市西大畑の加賀田邸・南浜通の北方文化博物館新潟分館に 於いて開催致しました。
第一席「松鼓庵」…茶道石州流恰渓会 大越芳嶺先生
第二席「残月亭」…裏千家 徳永宗巳先生
第三席「座忘」…江戸千家新潟不白会 真野江雪先生
が席主を担当し、初日の悪天候にも関わらず、2日間で約800名の来訪者があり、盛大な会となりました。

展観は、越後伝世シリーズ初回の『柿右衛門と鍋島』、昨年の『古染付と初期伊万里』に続き、今年のテーマは『初期伊万里から藍九谷へ』と致しました。
支部出展品のなかでも、蛇ノ目高台「吹墨月兎文五寸皿(5客)」・「吹墨梅に鶯文小皿(4客)」(1640年代)は珍しく、また、「葡萄文五寸皿(5客)」は、釉調・発色・形状を見ると、最初期に近い伊万里(1610〜1630年)であり、初公開の品と思われます。これらのものは、いずれも佐渡に伝世しており、近年、会員により見出されたもので、今回の展観のご馳走として用意致しました。
本部からは、地方には無い名品を数々出展して頂き、内容の濃い勉強会となりました。
大勢の来訪者のなか、まず、中島由美研究員より「日本陶磁協会」の趣旨説明と『陶説』の案内があり、続いて、黒田先生より展示品の説明をして頂きました。肥前陶磁器誕生の最初期に於ける朝鮮・中国の技術の関わり、その時代背(など、内容をかみ砕き、皆様にわかり易い説明をして頂きました。中島氏も解説に参加下さり、皆様より高評を博しておられました。

また、展観室の2階の大広間では、『越後と東北のやきもの展』を特別に企画し、越後の「太丘焼」・「松郷屋焼」、仙台の「堤焼」の珍品名品類、福島県の「大掘相馬焼」、山形県の「成島焼」・「平清水焼」などに野花を添えて、楽しい空間を演出してみました。皆様からも喜んで頭き、次回へのリクエストも頂きました。これからも新作古作問わず、やきものを中心とした新しい分野での発進場所として、皆様から喜んで頂ける企画を用意したいと思っております。
黒田和哉先生、中島由美研究員には、寒いなか2日間にわたり解説して頂き、一同厚く御礼申し上げます。

(新潟県支部理事 柴澤一仁)


仙台支部だより [平成14年11月号より]

仙台支部では9月8日(日)仙台市博物館で黒田和哉常任理事を講師にお迎えし、「唐津の茶陶」のテーマで第2回大会を開催いたしました。
黒田先生からは、前日茶碗・茶入・水指等々三十数点の大荷物をお送り頂き、隋行の森主任研究員ご持参の梅沢記念館からの特別出品「朝鮮唐津水指」等三点を加えての非常にバラエティに富んだ展観となりました。

午前中は列品解説、午後は博物館ホールでの黒田先生の講演に先立ち、森さんから陶磁協会が「今、改革され非常に活発化している」として来年陶磁協会が関係して開催する展覧会についての紹介があり「仙台支部が計画している『伊達家の茶の湯展』についても本部としてどう協力するか検討している。地元の熱意が出展品を拝借する際のバックアップになるので皆さんも大いに盛り上げて欲しい」旨の力強い挨拶を頂きました。
黒田先生からは唐津焼の創始時期に関しての諸説の解説や北朝鮮・南朝鮮系それぞれの陶技や窯の構造についてのお話から唐津焼の歴史・種類などスライドを交じえ巾広くお話し頂きました。
特に「楢岡焼(秋田)や堤焼(宮城)などに見られるように朝鮮唐津・斑唐津系統のやきものが東北地方で見られるのは秀吉によって取り潰しになり茨城に配流された波多一族に従ってきた岸岳系の陶工によってそれらの技法がもたらされたのではないか」とのご指摘は地元の者には気付かない視点であり、東北のやきものの謎解きとロマンを感じさせるお話しで大変印象深くお聴きいたしました。

添釜は支部役員の裏千家石龍宗虚先生。床に「ぶじばかまをよめる」寂蓮法師筆右衛門切。唐物手付篭に芙蓉・秋明菊・芒を活け宗元造輪花土周炉に古浄味造松花堂好四方釜、三島水指に秋草蒔絵棗、蓬月尼作歌銘茶杓、高麗刷毛目茶碗や奥高麗茶碗というお取り合わせで楽しませてくださいました。
何かと行事の多い日だったため、いつもの大会よりは若干参加者は少な目でしたがその分日頃拝見する機会の少ない唐津をじっくりと拝見することができ皆さん大喜びでした。

夜は恒例の懇親会で懇談頂き、その後も仙台市博物館の小井川学芸室長を交じえ、来年の支部設立50周年特別展の打合せをしたり翌日は朝早くから支部役員金ヶ崎伸二氏の案内で特別展に向け藤井仙台市長を表敬訪問頂くなど大変ハードなスケジュールでした。
お忙しい中、3日間にわたってご来仙頂いた両先生にあらためて厚く御礼申しあげます。

仙台支部設立50周年記念特別展「伊達家の茶の湯−利休・織部・遠州・道閑・石州・不昧−」については詳細決定次第あらためてご報告いたしますが、平成15年4月18日から5月25日まで33日間、仙台市博物館他と共催で同館で開催する予定です。
独眼竜政宗で知られる伊達政宗は戦国武将と同時に千利休を始め古田織部・小掘遠州等との交流も深く茶道・歌道・能の造詣が深い文化人でした。
また、茶道具の蒐集にも熱心で大正5年に行われた伊達家売立の目録を見るとそのレベルの高さに驚きます。
本展では、伊達家と利休・織部・遠州・道閑・石州等とどのような交流があったのか道具を通して考察すると共に伊達家旧蔵の道具を仙台で里帰り展示し、伊達家が築いた茶の湯の世界を紹介しようとするもので、国宝・重要文化財・重要美術品クラスを含む作品を多数予定しております。
期間中は博物舘内で毎週土曜・日曜に茶会を行う他、特別茶会も計画しております。 杜の都仙台が一番輝く新緑の季節でもあり全国から多数の会員の皆様のおいでをお待ち申しあげております。

(田口一嘉記)


筑豊支部だより [平成14年10月号より]

去る7月26日、夏の陶磁研修会が支部長宅の毛利歯科医院の奥大広間で、本部常任理事金子賢治先生を迎え「いま問われる日本現代陶芸の美」という演題で行われた。金子先生は国立近代美術館の工芸課長でもあり、今、最も油の乗った陶芸評論家として、斯界をリードし、世界的視点からその進む方向性を明確に指し示し、示唆に富む辛口の批評は陶芸界への大きな警鐘となっている。ややもすればもたれ合いの評論の多い斯界に、鋭い切り口で、淡々と且つ確信に満ちて切り込み、大方の喝采を博している。
公募展審査員への建築家等の起用に対する痛烈な批判(日本工芸会報105号)又、今年の西部工芸展審査で一般と正会員の別を無くした等々、斯界の在り方を正し、その改革に毅然として切り込む信念に、実に快哉を叫ぶ思いである。
その先生を迎え午前10時より前記の演題で講演が行われた。土から陶へのプロセスを進行させる技法、それをいかに自らの形の創出、即ち表現に実現させるかという事。「用」的立体、即ち使う形を借りた陶の立体、造形作品であり、その立体の表現を土の"立上げ部分"におくことによって、自己表現が実現する、即ち土の構築のパワーによって勝負する芸術、等々。先生の明解な現代陶芸への論評は多岐に渡り、魅力的な示唆に富み、基礎的な素養に乏しい一般の人にはいささか難解の向きもあったかも知れないが、当日の30余名の出席者は、過半がプロの陶芸家であったので、皆熱心にきき入っていた。(金子著「現代陶芸の造形思考」阿部出版参照)
その後昼食をはさんで、個々の作家が持参した作品に対し、適切な批評、指摘があり、深く首肯するものばかりであった。陶芸展入選のための傾向と対策ではなく、陶芸の歴史観に裏付けられた素材と技術へのアプローチ。拘束性の強い茶陶にあっては、ややともすれば「写」に傾きやすいが、その中にあって、いかに近代的な意味での個人作家の作品制作における「表現」を獲得するか。土と作家との関係が、約束事や因習から開放されると同時に、土とどう関係するか、土から陶への表情から、たった一つを選び出さねばならない。陶器制作は空間に一つの抽象的立体を生み出す作業、等々。眼から鱗が落ちる刺激的な先生の陶芸理論に酔い痴れる思いの、10時から3時過ぎまでの充実した5時間余でした。
最後に支部長の毛利先生のフランクな縁の下の力持ちに徹する奉仕の精神に、支部会員一同感謝し、筑豊支部は曽てない一致団結、和気藹々の活況を呈している事を附記して筆を擱きます。

(支部会員 上野焼光井窯光井玄空)


高知支部だより 6月23日 [平成14年9月号より]

高知支部の大会は黒田和哉先生をお迎えして大盛会でございました。
今年は4月・5月は多雨、梅雨は空梅雨気味で、梅雨明けと台風がいっしよになる気まぐれな天候でしたが、当日、6月23日はそのせいか好天に恵まれ出足好調で70名を越す賑いでございました。
演題は「伊賀・信楽」。高知支部発足(昭和43年頃)以来多くの先生方を招き、テーマも日本・中国・朝鮮と多岐に亘っておりますが「伊賀・信楽」は初めての試みでありました。
それと言うのも伊賀・信楽は水指・花生・壺など大物が多く、高知のような遠隔地では運撒運搬が大変なネックでありました。今回は黒田先生のご決断で運送していたゞき永年の夢が実現した訳でございます。
信楽では桃山の四方皿、利休信楽茶碗、遠州信楽水指、宗石茶碗、仁清信楽水指、鶴首徳利、伊賀は大佗の旅枕花生、筒井伊賀水指、伊賀茶入等々の銘品で、黒田先生の要を得たご解説に満座の者は皆納得。陶に触れ、話に酔い、しっかりと勉強いたしました。
大会終了後は、森田古美術店に伺い、伊野町の和紙問屋上田智資氏宅では古備前の銘品を数々拝見、眼福でございました。
それから、横浪半島の羊腸の断崖の道を降った陸の孤島、池の浦を散策。海老料理と、太平洋の水平線と荒浪が巌頭に砕け散るのがなによりのご馳走でございました。

(文責 竹村 脩)


湘南支部だより 6月16日 [平成14年8月号より]

今回の湘南支部会(6月16日)は、鑑賞会ということで、JR北鎌倉駅近くの鎌倉古陶美術館で開催中の「北大路魯山人と中世陶磁展」を、本部常任理事黒田和哉様の解説で見学致しました。
六古窯といわれる中世古陶の古瀬戸・信楽・丹波・備前などが、近代の魯山人の備前・信楽・伊賀などの作品と同じ展示スペースに陳列されており、黒田様の解説をお聞きしながら、両者を比較して鑑賞することができて勉強になりました。

また、初夏のこの季節にあわせての特別展示でありましょうが、魯山人の古九谷風色絵アヤメ文平皿(十客)が渋い中世の古陶磁の中に展示され、より色絵の美しさがはえて、十客もそろっているとまことに珍品でした。
魯山人の作品が、このような六古窯の中世古陶と同じ空間に展示されても、遜色なく見えるのはさすが魯山人との感を深くし、特別の師をもたず「坐辺師友」を師とした魯山人の面目躍如というところでしょうか。

鑑賞会のあとは、近くの東慶寺さんへ移動して昼食会となりました。
会場の床の間には、季節にピッタリの魯山人アヤメ画賛の軸がかかり、今回は特別に近頃では手を触れるのもちょっとはばかられるほど高価になってしまった魯山人の作品に、実際に料理を盛りつけて頂くという豪華な昼食会でした。
食事のあとで、各席で使用された魯山人の作品が集められて展示され、それを皆々で各々が好みに従って品定めをする風でありました。
    志野四方皿
    赤志野四方皿
    備前四方皿
    織部扇面鉢
    総織部草文俎皿
    織部飛鳥文四方皿
    総織部台鉢
    銀彩四方皿
    金彩色絵楓文俎皿
    染付福字吹墨文大平鉢など
初夏の1日を、中世古陶磁や近代陶の魯山人を黒田様の解説付きで鑑賞し、その上魯山人を使った昼食会という近頃ではちょつと体験不可能なことを体験できて、魯山人の作品をこんなにも沢山出品され、かつ実際に使わせて頂いた出品者には、さぞやハラハラドキドキのことであったと思いますが、その太っ腹に感謝し眼福口福の楽陶三昧の1日でありました。
感謝感謝。

山口 巌 記


仙台支部大会 仙台市博物館 6月9日 [平成14年8月号より]

仙台支部では本年度第1回大会を6月9日(日)小田栄一理事を講師にお迎えして、仙台市博物舘で開偉いたしました。
今回のテーマは茶入。小田先生は前日、東京での茶会を終えて夜遅くご来仙。

当日は、会場の都合で朝9時からご講演というハードスケジュールでしたが、午前中は約2時間の講演、午後も列品解説と大車輪のご活躍でした。
講演では、漢作唐物と唐物それぞれの特徴や瀬戸茶入の始まり、戦国大名の間で茶入が珍重された背(などについてもお話し戴きました。
当日の展観品は、栄西禅師が中国から持ち帰ったお茶の種を、明恵上人に贈ったときの容物「漢柿蔕茶壺」を永楽正全が写した物や唐物大海茶入、瀬戸凡手茶入銘横雲、瀬戸後窯万右衛門作茶入銘幸など8点。何れも牙蓋仕覆から挽家、箱まで展示し「値段以外は何でもお話しします」という列品解説と合わせ皆様に大変喜ばれました。

添釜は支部世話人の金源堂主金ヶ崎宗伸(伸二)氏。今年華甲を迎えられたご亭主の席とあって、床に楽13代惺入が絵馬の図に「かけたりやおもう千里を午の春よきことかのえのとし」と賛をした掛物を掛け、相馬枡形花入に轡を添えて花菖蒲を活け香合は仙台の郷土玩具木の下駒を香合に仕立てたもの。
大西浄久造馬地紋車軸釜、群馬蒔絵薄器、玄々斎作加茂競馬の埒竹の茶杓、楽弘入造黄釉平瓢の画茶碗、矢口永寿造加茂競馬茶碗等々干支の午尽くしのお道具組。中でも、30年前のヨーロッパ旅行で見つけられたというスペイン製馬と王冠図壺を水指に見立てられたのは一燈好焼桐棚にぴたりと決まり、席中の話題を呼んでいました。奥様、ご子息、お嬢様とご一家あげてのおもてなしに200名を越える参加者も大変楽しいひとときを過ごしておりました。

田口一嘉 記


■第5回京都支部会 5月26日 [平成14年8月号より]

目に青葉の5月、清々しい時候であるとともに、立夏があって夏の季節に入るのであるが、どうも下旬あたりから暑すぎる5月であった。やはりだんだん暑くなっている。日本の四季も崩れゆきつつあるのだろうか。
過ぐる平成14年皐月26日、第5回京都支部会を催した。今回も裏千家国際部のギャリ・カドワラダ氏宅にて、彼に亭主をお願いし、会員持ち寄りの道具を使用しての茶会とした。来席者は13名、ゲストに陶芸家の秋山陽氏、奥村博美氏、堀香子氏のお三方をお迎えした。
席入りすると、ほのかに甘美な香りが漂う。見ると床には楓の大振りな枝が2枝豊かに下がっていた。メープルの樹液はシロップのもとになると聞く。その楓の青葉に埋もれるように会員の土井氏(日蓮宗僧)が座っておられる図は、月になんとかの花札の一(のようで妙に絵になっていた。

当日用いた会員持ち寄りの道具の点描をすれば…会員池田氏持参の道具(秋山陽造)は、オーバル状の黒い器形のオブジェであるが、見込みにもりあがりを見せつつ作為を感じさせないクラックが入っている。これが水指に見立てられ水を湛えると、あたかも地中深くの岩間の湧き清水のようで、その水はなにか特別な水の如く見えた。同じく杉田氏持参の茶碗(隠崎隆一造)は、釉が黒のようで濃紺まじりの色を呈しており、大胆かつ繊細に彫塑されたフォルムは、この作家のデザインカを如実に示してあたりを払うものがあった。多くの会員がこの茶碗での一服を所望していた。その外は省略御免を蒙るが、それぞれが見立てという行為を通して活躍を期され、あるべきように機を与えられていたように思う。茶の湯の場での見立てなど古来やり尽くされてきた感があるが、だからこそどうせなら刺激というか、サプライズのある集まりとしたい。ことさら新奇を求めることは無用だと思うが、会員各位におかれても、いたずら心でもよい、亭主を困らせてやるくらいの心持ちで持ち寄ると、もっと面白くなるのではないか。亭主には恐縮ながら言い含めてある。ギャリさんも楽しみなようなのだ。はっとするような、あるいは機知に満ちた見立て振りが1つでも2つでも見られたら、集まった甲斐があろう。今回も水屋で立ち働いて下さったジョセフ・ジャスティス氏に感謝いたします。

記 梅田


■三原支部・九茶会 5月19日 [平成14年7月号より]

九茶会 三原市大善寺
1.本席 和順閣 表千家 佐藤宗恵
1.書院席 書院 会員席 協会会員
1.煎茶席 一浄亭 三癸亭賣茶流 三原支部
1.九茶席 本堂
1.展観席 本堂 朝鮮古陶磁

本年の九茶会は、充分な宣伝等出来なかったので、来会者の数を案じていたが、思いのほか多くの来会者を迎えることが出来て感激した。午前も午後も、3つの茶席は満員が続いた。
黒田講師の御熱心なる解説で朝鮮陶磁と日本との関係、またその古陶磁の美しさを味わった。今年は特に古陶磁を熱心に見る人が多くなったように思われた。テレビの鑑定団の影響であろうか。何れにしても古陶磁を愛する人が多くなった事は陶磁協会会員として喜ばしい事であろう。
朝は晴天で喜んでいたが、昼頃突然雨となった。外より駆け込む人に大変だと思ったが、席に入って茶席の窓より見る、雨に打たれる新緑の美しさは名画以上であり、又雨の音を聞きながら喫する茶は又格別の風味があった。

副会長・浅野良光


■恒例研究会・桃山の茶陶 水戸支部 4月14日 [平成14年6月号より]

4月14日、水戸市内「菊屋ホテル」において、本部常任理事黒田和哉先生をお招きしての恒例の研究会が行われた。参加者は、ここ2〜3年定着した感はあるが、やや少人数の30人程度であった。しかし、少人数とはいえ、それだけに陶磁器に燃えた一騎当千の兵ばかりの集りであり、「菊尾ホテル」が一日中紅蓮の炎に包まれたのではないかと思われるはどの熱気をはらんだものであった。
定刻の午前10時、中山事務局長のあいさつが始まる。
「今まで11月にやっていましたが、今回は遅れてしまい、しかも、年度も変ってしまっての実施となってしまいまして、1年休みのかっこうとなってしまいました。誠にもって申し訳ございません。」との謝罪並びに「本部におかれては、亡くなられた根津理事長さんに代って、銀座『和光』の会長さんであられる服部禮次郎さんが理事長さんになられました。」との報告で幕が切って落された。

さっそく、黒田先生の講演へと移る。先生は、「今日は、こちらの支部からのリクエストで『桃山の茶陶』というテーマで話します。」との前置きで、悠久の昔の縄文、弥生から解きほぐし、須恵器、鎌倉の古瀬戸へと至り、特製の「関連年表」を配布しては、遂に桃山の茶陶の解説に及んだのである。しかも、自ら御所蔵の、地方では、まず手に取って見ることなどできない、奥高麗茶碗、絵唐津茶碗、初代長次郎茶碗、瀬戸黒茶碗、朝鮮唐浄沓形茶碗、萩沓形茶碗、絵志野茶碗、鳴海織部茶碗の名品を示しながらの解説であった。
日本の場合、各時代の焼ものは、その時代の終了とともに「ぶっつりと切れます。」、「織部が切腹した元和元年をもって、陶芸史上の桃山時代は終了しました。」との説明が強く印象に残る。先生の解説の後、質疑応答に入る。
「織部の茶入れというのはほとんど見かけないのですが、織部の茶入れというのは存在するのでしょうか。」との鋭い質問が飛ぶ。それに対して先生は、「織部釉を使った織部の茶入れははとんどありませんが、織部釉を使っていない織部茶入れはあります。例えば『みをつくし』というのが有名です。」と回答されていた。その他、活発な質疑応答が続き、熱気に包まれたままに午前の部は終了となった。

昼食を挟んで、午後は水戸支部恒例の会員持ち寄り品の列品解説である。名品、迷品、珍品、奇品の数々。その数、およそ百数拾点。それを、かたっぱしから、バッタバッタと解説していくのは神業である。
それでもすべての列品解説を終え、質問に応え、やっと懇親会へと漕ぎ着けたのは、夜の懇親会を開くにはほどよい時間となってしまっていた。
懇親会では、今の時代を反映してか、ひとしきりインターネットオークションの話題に花が咲く。また、次回研究会の企画の話しについても大いに盛り上がった。どうやら次回には新機軸が打ち出されそうである。

後藤正行 記


■桃山茶陶鑑賞会 松江支部 3月17日 [平成14年6月号より]

松江支部からの講師派遣の依頼は、じつに20年ぶり。田部陽子支部長を中心に、支部有志の活動が活発になったのか、有難いことである。
大会の前日、黒田和哉常任理事と松江に入る。今回は、「桃山茶陶鑑賞会」ということで、梅澤記念館から「奥高麗茶碗」と「黒織部茶碗」を特別出品。黒田陶々庵からは「長次郎 黒楽茶碗」をはじめ、美濃・唐津・萩・上野・高取の名碗、懐石の逸品20点を出品。

松江駅で金川義弘さんら支部有志の出向えをうけ、その日は穴道町蒐古館を見学。さらに、その蒐古館館長・木幡修介氏の邸宅「八雲本陣」にて山陰名物の鴨の貝焼を賞味する。
厚生年金ハートピア・松江で開催された松江支部主催の「桃山茶陶鑑賞会」は、入場者数400人弱。支部有志のテレビ・新聞での宣伝の効果か、朝から足の踏み場もない盛況。さすが不昧公の御膝元、熱心に手に取って鑑賞される方々の多いのがとても印象的でした。
黒田和哉常任理事による地元の名陶を含めての列品解説を午前10時30分から、講演「桃山陶の流れ」を午後2時30分から行いましたが、スライドを併用しての熱弁に、みな真剣に耳を傾けておられました。最後に、大会裏方を勤められた金川さんをはじめ、支部有志の皆さんの働きに対し、心から感謝申し上げます。
なお、茶室「江月亭」の会記は下記の通り。

    会記


    床  不味公筆 横一行
    花入 伊賀瓢うつし 長岡空味作 不昧公百年忌記念
    花  ときのもの
    香合 布志名 緑釉 鳥
    釜  ) 口丸 利休堂 享和元年酉9月日 文字有り 下間庄兵衛作
    炉縁 桜木地 峯寺桜ヲ以テ作ル
    水指 布志名 白象嵌馬図 土屋雲善作 不昧公箱
    茶器 黒地水仙蒔絵棗 勝軍木庵光英作
    茶碗 古楽山伊羅保写
    替  布志名 筒形白地色絵蝶つなぎ
    茶杓 竹 新々庵叡俊銘 春の曙
    建水 木地曲
    蓋置 青竹
    御茶 中の白 中村詰
    菓子 うぐひす 風流堂製 

    以上
    森 記


■一品持寄観賞会 新潟県支部 3月10日 [平成14年6月号より]

去る3月10日(日)、本部より村山武先生をお招きし、平成14年度、「一品持寄観賞会」を新潟グランドホテルで開催いたしました。今回は、初めての参加者も多く、あわせて60名程の会となりました。

例年通り2部から構成され、第1部は「李朝のやきもの」と題しまして、スクリーンに写真を映し出しながら、村山先生よりご講演いただきました。李氏朝鮮時代を大きく前半と後半に分け、それぞれにおけるやきものの製法や特色について、また、それらにまつわるエピソードなどを、大変わかりやすくご説明していただきました。参加者は皆、メモをとるなどして、熱心に先生の貴重なお話に耳を傾けていました。第2部では、参加者所蔵の持寄品を先生に鑑定していただきました。点数も非常に多く集まり、前半の先生のご講演で紹介された「くらわんか」など、珍しく貴重な品もあり、大変、興味深く有意義な観賞会となりました。

例年のことながら、わざわざ新潟までおいでくださいました村山先生に、心より御礼申し上げます。
また、支部恒例の「展観と鑑賞茶会」は、今年度は11月9日(土)、10日(日)に開催いたします。

加賀田尚子 記


仙台支部例会報告 [平成14年4月号より]

仙台支部は2月10日の第1回例会で、支部設立50周年を迎える今年の活動をスタートしました。
今年は、6月9日、9月8日に本部から講師をお迎えしての大会。2月10日と11月10日に支部役員の出品・解説による例会、それに5月10日から2泊3日で窯元や美術館巡りの研修旅行を計画しております。
第1回例会は2月10日(日)仙台市民会館で国焼茶碗その1として行いました。

支部役員の出品により、黒織部銘春風、唐津銘むさしの、瀬戸唐津銘喫茶去、奥高麗銘童子、仁清御本写銘氷面鏡、朝日、虫明、萩等々40点程が展示されました。
特に干支に因んで相馬駒焼が3代作を始め、6点並んだ他古曽部、小代、小鹿田や当地では馴染みが薄い夜寒焼などの地方窯もあり極めてバラエティに富んだ楽しい展観となりました。
添釜は支部役員の裏千家堀内宗保先生。蓮月尼の和歌「青やぎの下ゆく水にかげみえてこえも流るるはるのうぐひす」の掛物に小森松庵作銘初音の茶杓、杉本貞光や松井康成の茶碗といったお取り合わせで200名を超える参会者を楽しませて下さいました。

田口一嘉 記


仙台支部例会報告 11/11 [平成14年1月号より]

仙台支部では平成13年最後の行事の例会を11月11日、仙台市民会館で開催いたしました。
例会のテーマは茶入。鈍翁旧蔵高取茶入銘白菊を始め、唐物・瀬戸・信楽・丹波・唐津・備前・仁清等々支部役員出品の茶入を約30点観賞して頂きました。
今回は、先入観を持たずに先ず作品そのものを見て頂こうとの考えから、いつも例会や大会で用意している題簽を置かず後で支部役員が解説いたしましたが、これには分かりにくいとの意見もあり賛否半々でした。
添釜は裏千家萩生宗芳先生のご担当。床に大綱和尚筆「壺中日月長」の一行を掛け、竹尺八花入に、いたやかえでの照葉と椿(秋の山) を入れ、元竺作玄々斎の反古紙貼御所籠を使って紅葉狩の趣向で大変楽しいお席でした。
何かと行事の多い日でしたが参会者は100名を越え盛況でした。

田口一嘉 記


筑豊支部 秋の研修会 11/11 [平成14年1月号より]

錦秋、11月11日(日)行橋市福原区公民館と隣接の毛利支部長宅において、筑豊支部恒例の秋の陶磁器研修会が開催された。
当日は、霊峰英彦山から北九州市のカルスト台地平尾台にかけて、僅かに雲がたなびくだけの晴天に恵まれ、会員以外の一般参加者は約50名の多くを数えた。

今回の研修会は「古染付・祥瑞について」のテーマで、当地にはお馴染となった、本部常任理事黒田和哉氏の講演と列品(黒田陶苑提供) 解説であった。
中国と我国の時代の推移、国威の盛衰に伴う「やきもの」の変化変遷。
栄西禅師によってもたらされた茶が、茶道として村田珠光、武野紹鴎、千利休、古田織部、小堀遠州へと続くなかで、道具としての「やきもの」の移り変り。

古染付・祥瑞と有田との係わり。
我国の近世から現代に至る間の茶人等の茶道具についての思い入れ。等々、古染付・祥瑞についての概説にこぼれ話等を折り混ぜての講演列品解説に、時の経つのを忘れて聴講する事が出来た。
質疑応答では、素朴な質問にも懇切丁寧に応えていただき、一同心からの拍手で会を終了した。
日頃図録でしか鑑ることのできない、古陶磁愛好家垂涎の名品の数々を、手取りで鑑賞することができたのも望外の喜びであった。
また、毛利支部長宅では、アフガニスタン難民救済チャリティー新古美術展示即売会が開かれ、予想以上のご協力を戴き、担当者は目が回る程の忙しさであった。

秋色趣のある毛利庭園では、表千家流白川宗郁社中による野点席が設けられ、参加者一同心安らぐ一服を戴くことができた。
「土もの」作家が殆どの筑豊支部会員にとっても、今研修会は新たな知識を吸収することができて、大変有意義であったとの声しきりであった。

支部会員 船津清記


第4回京都支部会記 10/28 [平成14年1月号より]

時節柄名残深く恰もよし、過ぐる10月28日、第4回京都支部会を開催した。
今回は、裏千家国際部のギャリ宗可カドワラダ氏のお宅にて、点心と薄茶をいただく茶会とした。
亭主はカドワラダ氏、水屋はジョセフ・ジャスティス氏、ジャスティス氏は懐石料理の修練を主に武者小路の千澄子夫人に師事し積んでこられたとの由。ご両人ともアメリカ人である。

趣向としては、今回は会員各位に前もって茶会に使えるやきもの(使えそうでないものでもよい)を送ってもらい、それらを当日カドワラダ氏に見立ててもらって使うなり、荘っていただくということにした。古陶現代陶は問わない。どんなものが集まるかはわからない。それぞれの道具は関連なしに集まってくる。また茶の湯に縁のない会員もおられるわけである。ほとんどぶっつけ本番、当日どのようなものが出てくるか、そして異国の人である亭主がそれらをどのように見立て使いこなしてくれるか、とても楽しみでもあり、少し人がわるいかも知れぬがスリルもあるではないか。
ただものを持ち寄ってワイワイやるより、実際に用を与えながら、茶席で人の手から手へそれが動くさまを見てもらう、そのほうがものも活きるであろう、また持って来た人も自分の気の入りのものが、主役か脇役か茶の湯での場をあたえられ移動する様をみて、ものにあらたな命が吹き込まれたような思いをされるのではないかと、このようなことも考えた。

当日集まったものを逐一書かないが、古いものでは、楽家9代了入の湯呑か筒向うを転用した皆口茶入、これは箆目と少し赤の勝った橙色の発色がすばらしかった。現代陶では安食ひろ作のガレナ金彩碗は、胴見込みともほとんどキンキラ金色に輝いており、そのインカ風のレリーフ文様と相俟ってあたりを払うように目立ってしまっていたが、かえって今回の趣向にすこぶるかなっていた。他に真黒石の盆石を持ってきた人もいた。これは砂張の盆に載せて荘ってあった。料理のほうも点心と思っていたのに、煮物焼物強肴八寸まで運び出していただき、こころ尽しのご馳走をしていただいた。ご両人に深謝である。会員各位、また飛び入りの参加者も愉しく過ごされたことと思う。

支部会なる集まりを年何回すればよいのか知らないが、せっかく集まる以上なにか面白いことがなければならない。かといってそんなに面白いことがこの浮世にあるわけでもない。趣向を凝らすにも、浮世の難事に翻弄されている身ゆえ思い浮かぶことも少ない。会員各位のアイデアに期待しているのであるが、もし大方の賛同を得られるなら、今回のようなスタイルで続けてもおもしろいのではないかと思っている。

記 梅田